自民当選ゼロ、16年ぶりの議席 目黒区

活動報告

「自民ゼロですっきり」

生活苦に怒り爆発
共産16年ぶりの議席

都議選で共産党の星見てい子さん(59)が議席を獲得し、自民党は現有2議席とも失った目黒区(定数3)。16年ぶりの快挙に区民は驚き、保守陣営は大きなショックを受けています。なぜ勝利できたのでしょうか。目黒区を訪ねました。(松浦賢三)

星見さんは、開票日翌日から早朝、駅頭に立ち、連日、当選の報告と決意をのべました。「よかったですね」「私も入れました」「期待していますよ」。女性が近寄ってきて言いました。「自民党がいなくなって、スッキリした」
選挙結果は保守陣営にとって、まさに衝撃でした。目黒区の元自民党区議で、区議会議長も務めた重鎮、石山京秀さんは「自民党は一人に絞っても厳しかったと思う。それほど票がなかった。共産党はよく頑張った」と完敗を認めました。敗北の要因について「国政問題が影響し、有権者は自民党がいやになったのではないか。安倍内閣はそのうち壊れるよ」と嘆きました。

「暮し」訴え続け

区議を3期10年、区議団長も務めた星見さんは激戦を振り返り、実感を込めて言いました。「当選できた根底には、平均所得が全国で最も高い地域の一つと言われる目黒区でも、大規模に生活不安、生活破壊がすすんでいることではないでしょうか」
区議として毎週、続けてきた「何でも相談会」に寄せられた区民の悩みは、1000~1500件。都議選では、この生活相談を基にして、豊洲移転中止とともに「3つの公約」を掲げました。①高すぎる国保料の引き下げ②学校給食費の無料化③認可保育園の9万人の定数増。「区民の痛みが分かり暮らしを守る担い手共産党」を訴えました。
告示直前の生活相談会のことです。無年金者(80)が、妻とともに区役所から届いた未開封の通知を持って、初めて相談にきました。怖くて封を切れなかったのです。昨年まで2万6千円だった保険料が4万円に上がるという通知でした。「妻と二人、貯金を取り崩しての生活。これでは死ぬしかありません」
星見さんは無年金者の話を紹介し、街頭演説で国保料の引き下げを訴えました。すると「高すぎるんだよ」「その通り」と怒りの声。「自営業の息子は子だくさんで、国保料50万円もの通知がきた」「失業中に滞納した保険料が払いきれない」との声も。まるで街頭生活相談のようでした。
目黒区の国保料滞納者は約1万2千世帯もいます。
星見さんは言います。
「区内全域をまわって訴え〝国保滞納の1万2千世帯が見えてきた〟と思いました。生活破壊を押し付ける安倍政権と、その一方で、加計学園など国民を馬鹿にするような政治の私物化に住民の怒りが爆発したのではないでしょうか」
子どもを自転車に乗せた若い母親たちの手振りも、昼間、夕方問わず多くなっていきました。

市民の広い支持

星見さんは、市民と野党の共同の候補として押し上げられました。野党共闘をめざす「市民連合めぐろ・せたがや」のメンバーは、都議選をたたかうために「市民選対@めぐろ」を結成。駅頭トークや自転車でスポット音声を流しながら全町目を宣伝(2週間で制覇)、街頭での応援演説などを精力的に行いました。
5月の街頭宣伝で、共産党の志位委員長とともに応援演説をした「市民選対@めぐろ」の海部京子さんは、安保法制反対、参院選を通じて「共産党の信頼感は広がっている。星見さんは間違いなく都民のために働いてくれる人」と呼びかけ。共同代表の斉藤優子さん(48)も「国民の声を聞き、野党共闘をめざす志位さんの決断はすばらしい」と全面的に応援しました。
無党派の人たちや市民団体の応援も広がりました。元無所属区議の宮本なおみさん(81)は、星見さんを推す5つの理由を書いた文章を70人の友人に送りました。宮本さんは「野党4党が力を持たなければ日本の政治はとんでもないことになる。共産党抜きに革新的な動きはつくれない」とあらゆるつながりを生かして訴えました。「共産党は実力で19議席をもぎ取りました」と、これからに大きな期待を寄せます。
野良猫をなくす運動を続ける「目黒区都会の猫を考える会」代表の門坂直美さん(67)は、問題解決に積極的で野良猫を引取って飼う星見さんを応援し、会でも支持を呼びかけました。「猫ボランティアの人は弱い者の味方、革新的なのです。星見さんを応援して下さる人がたくさんいました。期待がいっぱいです」

「退路」を断って

星見さんは「区議をやりながらでは勝てない」と決意し、2月で区議を辞め、退路を断ちました。宮本栄地区委員長も「これまでの延長ではなく議席を獲得するためにすべてをやりつくす」と決意。それからは、「どんな風になっても勝てるように」と活動の軸を共産党組織と後援会の強化に置きました。
全での支部、読者を回り、「広げてほしい」と4千7百軒の訪問・対話作戦を展開し、赤旗読者を拡大。「星見てい子都政レポート」を8千世帯に配り19号まで発行。区議10年のつながりを生かして支持・支援を広げ続けました。
選挙本番に入ると、高級住宅地が集中している地域ではベンツの車中から「頑張れ!」「必ず入れるよ」の声。夕方宣伝では、中高年サラリーマン層の人たちが、怒った表情で声をかけてきました。「自民はふざけている。あんたに入れる」「自民、公明はもうやめた」「自民を落とせ」
星見さんは新たな意欲に燃えています。「公約実現に全力を挙げるとともに、安倍政権を倒すため市民と野党の共同を目黒から首都東京へ、全力を挙げます」

共産党は前回より1万361票増やし、1万8千572票(2・26倍)を獲得して3位当選。他に都民ファースト、公明党の両候補が当選し、自民党現職の二人は落選しました。

(東京民報 2017年7月23日号より)